共同研究・競争的資金等の研究課題
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肺がん背景肺に潜むゲノム・エピゲノム異常の徹底的マッピングによる発がん機序の解明
研究課題/領域番号:22K06935 2022年4月 - 2025年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
谷野 美智枝, 湯澤 明夏, 小山 恭平, 水上 裕輔
配分額:4,160,000円 ( 直接経費:3,200,000円 、 間接経費:960,000円 )
特発性肺線維症(Idiopathic Pulmonary Fibrosis, IPF)の患者では肺癌の発生率が高く、IPFを伴わない肺癌と比べて予後が有意に不良である。IPF合併肺癌のなかで最多の組織型である扁平上皮癌症例を対象とし、組織標本を用いて形態学的評価(過形成、異形成、上皮内癌、浸潤癌)及び免疫組織化学染色を行った。
IPFを伴う肺扁平上皮癌5症例および、IPFを伴わず肺気腫やIPF以外の間質性肺炎を伴う肺扁平上皮癌18症例を解析対象として選定した。また、肺癌の診断または予後のマーカーとして有用性が報告されているメチル化解析のターゲット遺伝子を文献から検索し、そのなかから免疫組織化学染色の抗体が確立しているCDH13、CDKN2A、RASSF1を選定した。それらの免疫組織化学染色条件を検討し、対象症例において腫瘍部・非腫瘍部を含む代表的な箇所で免疫組織化学染色を実施した。多くはCDH13が発現し、CDKN2A・RASSF1の発現は消失していたが、一部の症例では異なる発現パターンを示した。
エピゲノム解析手法の検証として、ヒト肺原発扁平上皮癌の細胞株であるEBC-1を培養してDNAを抽出し、メチル化の定量解析実験を行った。バイサルファイト処理したDNAからリアルタイムPCRによる定量解析の系を立ち上げている。臨床検体は、免疫組織化学染色を実施した腫瘍部および腫瘍周囲の非腫瘍部や、腫瘍から離れた背景肺からDNAを抽出した。確立した測定系を用いて、臨床サンプルにおけるメチル化の定量解析を実施し、免疫組織化学染色結果との検討、臨床因子との比較検討を行っている。